
この記事は Google の Product Director である Ethan Russell による Google Maps Platform Blog の記事 " 9 things to know about Google's maps data: Beyond the Map" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
毎日 10 億人以上が Google マップを使用し、Google Maps Platform を活用した500 万以上のアクティブなアプリとウェブサイトが存在する中、Google マップの地図データはどのように作られて、Google がその正確さをどのように維持しているのかについて質問をいただきます。シリーズ 3 回目となる今回は、Product Director である Ethan Russell によくある質問に回答してもらいました。地図データに関する質問や、個々のアプリケーションとエクスペリエンスに対して、Google の地図データを最新の状態に維持するためにどのようなことが行われているかを聞いてみました。
どのようにして Google の地図データを正確なものにしていますか?
世界は広大で絶えず変化しています。皆さんのご近所でレストランがどれほど頻繁に開店しては消えていくかを想像してみてください。次に、建設されたすべての企業、建物、家、道路について考え、 70 億人以上が住む世界 220 以上の国と地域に拡大してみてください。Google は地球上のすべての人に正確かつ最新の地図を提供したいと考えています、しかし、それらの多くが常に進行中なのです。そのため、地図データを提供するという仕事に終わりはなく、地図データを可能な限り最新の状態に保つためにさまざまな取り組みを行い、技術を開発しています。前回の記事をご覧いただいていない場合は、次の 2 本の記事は世界の地図を作成し、データを最新の状態に保つ方法を詳しく学ぶのに良い出発点となりす。最初の記事では、マッピングの取り組みの概要を説明し、2 番目の記事では、画像がどのようにマッピング技術の基盤となっているのかを説明しました。しかし、シリーズでまだ取り上げていないことがあります。顧客、企業、ユーザーが実世界について知っていることを提供でき、自分自身やお互いのデータを最新の状態に保てるようにする方法についてです。情報を更新するにはどうすればよいか
地図データに正確でない箇所がある場合に、それを更新するためのいくつかのチャネルがあります。Google マップのユーザーはどなたでも、”フィードバックの送信”(Google マップのデスクトップ版)および編集の提案(Google マップと Google 検索上にプロファイルを配置)ツールを使用して、データ上の問題を報告することができます。Google Maps Platform の利用者で業界別ソリューション(ゲームなど)を使用している場合、不具合を報告するための API が製品に含まれています。ゲーム スタジオ パートナーから問題が報告されると、Google はそれに対応します。顧客がカスタマー エンジニアリング チームまたはアカウント マネージャーと密接に連携している場合、いつでも直接彼らまたはサポートチームと協力して情報を更新できます。ビジネス情報を管理する企業や代理店も、Google マイビジネス経由でビジネス情報を更新できます。ユーザーによる協力以外に、Google がどのようにして最新の情報を得ていますか?
Google には、データを日々最新の状態に保つための専任チームがあります。第三者機関のリソースからのデータの取り込み、データを自動的に更新してスパムや不正を識別するアルゴリズムの開発、企業や組織に直接連絡して正確な情報を取得する作業などを行っています。地図データはどのくらいの頻度で更新していますか?
地図は、文字通り毎日毎秒更新しています。Google では、衛星画像やストリートビューカー、Google マップユーザー、地元の企業主などから世界中の最新情報を常に収集しており、その情報を使用して地図を更新しています。Google マップのユーザーは、毎日 2,000 万を超える情報を Google へ提供しています。これは、毎秒 200 を超える情報量です。ユーザーからの最新情報に基づく更新に加えて、2 番目の記事でも紹介しましたが、画像や機械学習による取り組みなど、他の手段を通じて明らかになった数多くの更新も行っています。企業や組織が多くのデータを提供できる場合、どのように提供すれば良いでしょうか?
新しい道路や新しい建物の住所などに関する大量のデータを持っている政府、非営利団体、教育機関などの組織は、Geo Data Uploadツールを使用できます。このツールを使ってデータを送信する場合、適切な形式でデータを送信することが重要です。そうすることで、Google は送付されたファイルをより簡単に取り込むことができます。空間属性を持つシェープファイル(.shp)または .csv が推奨ファイルタイプです。データを送信する準備ができたら、みなさん自身でアップロードコンテンツの要件をぜひ確認してください(こちらのサポートページ(英語)で確認できます)。さまざまな分野でオンライン マーケティングを行う代理店は、Google マイビジネスを使用してビジネス情報を追加および更新できます。Places API にビジネス情報を取り込むだけでなく、メッセージング、製品在庫、さらに Googleマップや検索などの機能を通じて企業が消費者とより密接に連携できる幅広いツールを提供します。
変化する世界に対応するために必要な膨大な量のデータにどのように対処していますか?
Google は真にグローバルな規模で地図を構築しており、多くの情報を処理しています。道路、建物、住所、企業、およびそれらの多様な属性など、さまざまな種類のデータと、異なる視点からの画像を高解像度で取得しています。幸いなことに、これをゼロから始めているわけではありません。Dataflowや Cloud Spannerのような処理およびストレージシステムから、TensorFlowのような機械学習ライブラリやフレームワークを活用することで入ってくるデータの流れを理解することができます。世界のさまざまな地域でデータ品質に違いがあるのはなぜですか?そして、企業があらゆる場所で Google Maps Platform を使用できるようにするために、これらの違いに対してどのように対処していますか?
地球全体をマッピングすることの面白さと挑戦のひとつに、すべての地域の違いに対処することがあります。郵便番号の粒度の違いや、建物の住所が通りの端から反対側の端まで直線的に延びているか、ブロックの周りにエリア状に分散しているかなど、歴史的・政治的背景の違いを把握するところから始まります。次に、都市内で建物が連続して接している場合や、異なる階に複数のビジネス(および個人の住宅)がある場合など、物理的な違いもあります。または、樹木が多く覆っていて、その下にある道路が見えにくい地域や、そうした樹木が無い一方で乾燥した河床が未舗装道路のように見える地域。さらに、新しい道路や建物の建設スピードの速さ、新しい事業の開業のスピードなど、経済的な違いもあります。アルゴリズム、機械学習、人間のオペレーターが理解する必要のあるさまざまな言語やスクリプトが加わると、世界のさまざまな地域でさまざまな種類の問題を引き起こす多くの複雑な要因を考慮する必要が生まれるわけです。これらの違いに対処するために、新しい異なるマッピングアプローチを上述の領域には採用しています。参照可能な信頼のおけるデータソースがほとんどない地域では、衛星および街路レベルの画像と機械学習を使用して、道路や企業を識別し、地図データに情報を追加します。また、道路が狭いために地図を作成できない場合は、「ストリートビュー用三輪バイク」を作製して、それらの道路を追加するのに役立つ画像をキャプチャします。マッピングの新たな課題を発見するたびに、常に新しいソリューションの開発に熱心に取り組んでいます。
Google や他の組織が地図データを提供した方法の中で最も興味深いものは何でしたか?
Sheep Viewは個人的なお気に入りです。毛に覆われた羊の背中にソーラーカメラを取り付けて、フェロー諸島の画像をストリートビュー用に収集しました。 18 の島々からなるフェロー諸島には 50,000 人しか住んでいませんが、「羊の島」という名の通り、70,000 頭の羊が群島の緑の丘と火山の崖を歩き回っています。そのため、羊はその地域の画像を撮影するのに最高の方法であり、間違いなく最もクリエイティブな方法でした。ハロウィーンと言えば、3 本足の人や湖に沈んでいる飛行機などの不気味なストリートビューの画像は一体どうなっているのでしょうか?
Google マップに表示され、Maps および Street View API を介して利用できる画像は、数十億枚の写真をまとめたものです。同じシーンの写真をつなぎ合わせても、物事が正確には揃わないことがあります。これは特に、歩いている人や飛んでいる飛行機のような、動いているもので起こります。これらの状況をより良く処理するために、Google はシステムとアルゴリズムを常に調整しています。実際、前回のハロウィーンの際にも、最も一般的なタイプの「不気味な」画像の背景にある撮影上の課題をブログ記事(英語)で説明しました。地図データに関する一般的な質問について回答しました。Google が世界をどのようにマッピングし、企業が世界中でロケーションベースのエクスペリエンスを構築するのにそれがどれほど役立っているかについてさらに詳しく見ていきますので、今後のブログ記事もぜひ注目してください。
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Posted by 丸山 智康 (Tomoyasu Maruyama) - Google Maps テクニカルアカウントマネージャ